水気耕栽培の始め方【ベランダ菜園】

ここ最近、異常気象やインフレの影響で野菜の価格が上がり、日々の買い物にちょっとした負担を感じるようになってきました。
「それなら家庭菜園で少しでも節約できたら」と思い立ったのですが、実は過去にチャレンジして失敗した苦い経験があります…。
そんなときに出会ったのが、YouTubeで見かけた水気耕栽培という方法。土を使わず、ベランダでも手軽に始められるとのことで、「これなら自分にもできるかも!」と感じ、思い切って再チャレンジしてみることにしました。
今回は、水気耕栽培を始めるために必要なアイテムや手順を写真付きでご紹介します。
初心者の方でも安心して始められる内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
水気耕栽培とは?
「家庭菜園」と聞いて思い浮かべるのは、プランターに土を入れて苗を植える“土耕栽培”が一般的ですよね?
でも私が今回チャレンジしたのは水気耕栽培(すいきこうさいばい)です。

水気耕栽培は、土を使わずに「水(液肥)」を根に浸して植物を育てる水耕栽培の一種で、エアーポンプなどで液肥内に空気(酸素)を供給しながら栽培する方法です。
土耕栽培と比べて、土の処理や虫の心配が少なく、室内やベランダでも清潔に育てることができます。
さらに、水の状態を数字で確かめることができるので栽培環境をコントロールしやすく、成長も安定し収穫量も増えるという利点があります。
水気耕栽培について詳しくはこちらの記事にまとめていますのでご覧ください。

植え付け
それでは実際に植え付けの準備をしていきます。
まず、苗がある程度大きくなり水気耕栽培用の根っこが生えるまでは、管理しやすいザル&ボウルで育てます。
苗を固定するためにハイドロボールを使用します。中粒タイプ0.8Lをダイソーで購入しました。
バーミキュライトやスポンジなどを使用しても構いません。

説明書に水洗いしなくても良いと書いてありましたが、粉塵が気になったのでサッと1回水洗いしました。結構泥のようなものがでます。

ホームセンターで買った薄皮ミニトマトの「ぷるるん」とピーマン2種類を水気耕栽培します!

土をきれいに落とし、根が露出した状態にします。
根を傷めないように優しくほぐすように洗うのがコツです。

ザルにハイドロボールを敷き、その中に苗をセットします。

最終的に苗が安定しなかったので、急遽ストローを支柱代わりにしました。汗
しっかりした長めの支柱を買っておけばよかったなと反省しました…。次回は準備したいです!

このままではザルとボウルの隙間がないので根っこが伸びるスペースがありません。
隙間をつくるためにダイソーの猫よけマットを使用して高さ調整をします。


適度な大きさにカットしてザルとボウルの間にセットします。
後日、猫よけマットが高すぎたので低めにカットしてサイズ調整しました。
培養液を作ります。Amazonでハイポニカ液体肥料500mlを購入しました。


ハイポニカはAとBの2種類があって、使用するときは同じ分量を混ぜ合わせます。(あらかじめ混ぜ合わせていてはいけません)
定植直後は濃度を薄めに作ります。植物によって適切な濃度は変わりますが、ミニトマトの場合、EC値1,000μS/cmを目安にします。(約1,000倍希釈)
1リットルの水に対してハイポニカをA液1ml、B液1mlの合計2ml入れると丁度いいです。1:1:1(イチイチイチ)で覚えましょう!
濃度についてはあまり神経質にならなくていいようなので、ざっくり楽にいきましょう。
液肥の濃度が適切か確認するために、デジタルTDSメーターを使ってEC値をチェックします。

電源を入れて先端を液肥につけるとすぐに測定値が返ってきます。
画像では通常の500倍希釈弱の濃度になっています。定植直後は1,000倍希釈(1,000μS/cm)程度になるまで水を足して値を下げます。
水気耕栽培では水の管理が最重要になるので、デジタル測定機を購入されることをおすすめします。安いものは千円程度で手に入りますので、迷わず買いましょう!(安いものは若干誤差が大きくなりますので注意)
準備した培養液をボウルに注ぎ、植え付けた苗をセットすれば完成です。

ザルの隙間から根っこが伸びてくるまでは液肥を継ぎ足しながら管理していきます。
日光があたる場所に置いてじっくり待ちましょう。
水気耕栽培の設備づくり
植え付けから10〜20日ほどでザルの隙間から根っこが伸びてきます。いよいよ、本格的な水気耕栽培へ移行します。
エアーポンプは格安で種類も豊富なので水槽用のポンプを使用することにしました。私の場合、ベランダ(屋外)で使用するので防水対策が必要です。プラ製のボックスを加工して使うことにしました。

100均でプラ製のボックスを購入しました。雨が入りにくい構造の蓋(フタ)がついている箱を選びました。

空気の取り入れと、水が混入しても抜けるように、ボックスの底に穴をあけます。

エアーポンプの電源ケーブルを通す溝を開けます。

蓋部分も加工して、ケーブルが通るようにしました。

チューブを通す穴を開けます。水が混入してもいいように、なるべく下側に穴をあけます。

浸水のリクスを軽減するために、猫よけマットを敷いて底上げします。

エアーポンプとチューブを通してみて問題なければ完成です。
今回使用したエアーポンプは「FEDOUR 4W水槽エアーポンプ」です。Amazonで1,700円ほどでした。機能についてはこちらの記事にまとめていますのでご覧ください。

屋外に電源がない場合は、モバイルバッテリーで代用するか、バッテリー付きのエアーポンプを利用します。
USB給電対応の2Wのエアーポンプと50,000mAhのモバイルバッテリーの場合、約100時間(4日ちょっと)連続稼働させることができます。
培養液を入れる20リットルのバケツを購入しました。まずは蓋部分にザルを固定できる穴を開けます。

黒色の蓋付きバケツを購入しました。バケツ内に太陽光が入ると藻が発生しますので、光を遮る素材や色が良いです。

ザルの直径を測り、コンパスカッターで切り抜く穴の外径に目安を入れます。

ハンダゴテで穴を開けます。煙や匂いが充満する可能性があるので窓を開けて作業しましょう!(火災警報器が鳴るかと思い焦りました…汗)

穴を開けることができました。溶かした部分にバリがでるので、気になる方はサンドペーパーなどで削ってください。
次に、バケツ内に水が満杯になり、根がすべて浸水しないように水抜き穴を開けます。また、エアーチューブを掛ける溝も合わせて作ります。

ザルの高さを測り、水抜き穴を開けます。ザルから出た根っこが液肥に浸かる程度の高さが丁度いいです。(根っこを全て浸水させない)

エアチューブを通す溝を作ります。100均のセリアで購入したU型ジョイントが使い勝手と耐久性が良くておすすめです。

ハンダゴテで溝を溶かします。エアチューブの溝は蓋ではなくバケツ部分に開けることをおすすめします。(蓋は育成中によく開け閉めするので)

U型ジョイントが上手くフィットすればOKです。
バケツに水と液肥を入れます。液肥の濃度は2,000μS/cm(500倍希釈)を目安にします。1リットルの水に対してハイポニカをA液2ml、B液2mlの合計4ml入れると丁度いいです。1:2:2(イチニーニ)で覚えましょう!

バケツに水を入れていきます。水抜き穴からしっかり水が流れることを確認しましょう!

液肥を500倍希釈で入れます。大きいスポイトを利用すると入れやすいのでおすすめです。

バケツ内でEC値を計ります。2,000μS/cmが目安です。
培養液は作り置きせずにバケツ内で調合することをおすすめします。
植物は自身が必要なときに必要なだけ水分や養分を吸収する賢い生き物です。例えば、夏場の暑いときは養分を吸収せずに水分のみを吸い上げ蒸散し、自身の温度を調整します。それを知らずにEC値2,000の液肥を継ぎ足すと、バケツ内の液肥濃度がどんどん濃くなってしまい、最悪枯れてしまいます。
面倒ですが、バケツ内でEC値を計りながら育てていきましょう!
エアーポンプに繋げたチューブをバケツ内にセットします。

逆流防止弁をつけます。バケツの位置よりポンプが低いときは故障するリスクがありますので、付けたほうが安心です。

電源からバケツまで距離がある場合は、別途エアチューブを購入しましょう。

水気耕装置が複数ある場合は、T型やY型のジョイントを利用して分岐させます。

エアーポンプの電源を入れて、ブクブクするか確認します。エアー量も調整します。
バケツに蓋をしてザルに入れた植物をセットすれば完成です。必要であれば支柱などをつけて安定させてください。


以上で水気耕栽培装置は完成です。
後は培養液を管理しながら家庭菜園ライフを楽しんでいきましょう!
実際にミニトマトとピーマン2種類を育てている栽培記録はこちらの記事をご覧ください。



道具と費用のまとめ
水気耕栽培の準備に使用した道具などをまとめます。参考価格は2025年4月時点の価格ですのでご注意ください。
植え付け準備に使った道具
アイテム名 | 購入店 | 参考価格(税込) |
---|---|---|
ハンドルボウル(ザル付、700mL) | ダイソー | 110円 |
ハイドロボール(中粒、0.8L) | ダイソー | 110円 |
ハンダゴテ | ダイソー | 550円 |
猫よけマット(3枚入り) | ダイソー | 110円 |
液体ハイポネックス(500ml) | Amazon | 1,345円 |
デジタルTDSメーター | Amazon | 999円 |
合計 | 3,224円 |
水気耕栽培装置に使用した道具
アイテム名 | 購入店 | 参考価格(税込) |
---|---|---|
エアーポンプ | Amazon | 1,690円 |
ビッグコンテナMGX ダークグレー | セリア | 336円 |
プラスチックペールバケツ 20L 蓋付き | 楽天市場 | 1,053円 |
エアーチューブ用ジョイントU型(※) | セリア | 110円 |
エアーチューブ用ジョイントL・T・Y型(※) | セリア | 110円 |
エアーチューブ4.5m(※) | Amazon | 336円 |
合計 | 3,409円 |
※:作物が1種類(バケツ1個)の場合は購入不要です。
ランニングコスト
水耕栽培にかかる主なランニングコストは、「液体肥料代」と「エアーポンプの電気代」です。なお、水道代はごくわずかのため、ここでは割愛します。
エアーポンプの消費電力は機種によって異なりますが、一般的には2〜4W程度です。これを1kWhあたり31円で計算すると、1ヶ月の電気代は約45〜89円ほどになります。
また、液体肥料の使用量は植物の種類や株数によって変わります。例えばトマト1株を栽培する場合、必要な培養液は約50〜80Lとされています。液体ハイポニカ(500ml:A液250ml+B液250ml)は、500倍に希釈すると約250L分の培養液が作れるため、そのうち3分の1ほどを使えば1株を育てるのに十分です。液肥のコストはおおよそ500円未満に抑えられます。
あくまで目安にはなりますが、水耕栽培を始める際のコスト感として参考にしていただければと思います。
おわりに|「育てる楽しみ」が、日々の暮らしを豊かにする
今回は、水気耕栽培でミニトマトやピーマンを育てるための準備についてご紹介しました。
最初は少し手間に感じるかもしれませんが、土いじりが不要でベランダでも気軽に始められるのが、この方法の大きな魅力です。
これから苗を植えて、水やりや肥料の管理などをしながら、少しずつ成長していく過程を楽しんでいきたいと思います。
野菜の高騰が続く中で、自分で育てた野菜を食べるというのは、節約だけでなく、暮らしの中のちょっとした豊かさにもつながるはずです。
これから水気耕栽培を始めたい方の参考になれば嬉しいです。